乳酸菌が腸環境をよくする理由


乳酸菌の生理活性物質は酸、抗生物質、細胞壁成分、固有のDNA配列です。
これらに共通するのは病原性微生物を抑制することです。
日本で問題となる腸管感染症は、小児期に頻発しやすい一部の大腸菌やロタウイルス感染症、抗生物質の長期投与による菌交代症によって引き起こされるクロストリジウムディフィシル関連下痢症などが有名です。
その他にも乳酸菌が間接的に腸環境をよくすることで予防が期待される下痢性疾患にHIVやピロリ菌感染症があります。

HIV感染者の消化管異常

19〜62歳の50名のHIV感染患者およびAIDS患者の下痢の持続時間に特定の乳酸菌が与える影響を調べた研究によると、乳酸菌の摂取で下痢の継続期間が2.08日に短縮されています。
HIV感染者およびAIDS患者の下痢の継続期間は2.92日であることから、HIV感染時における腸管感染症に対する抗菌治療の補助として乳酸菌が有用であると考えられています。
加えて血液や血清、尿検査の所見や被験者の抗菌薬への抵抗力へ影響を与えないことも乳酸菌の安全性を裏付ける理由になっています。

乳酸菌によるピロリ菌の抑制効果

日本においてピロリ菌感染が注目されるのは、日本人の場合はピロリ菌感染性潰瘍が胃がんに進行する可能性が欧米よりも高いと言われているからです。
ピロリ菌に対する乳酸菌の効果は制御機構が一定ではなく、中には憎悪させてしまう菌株も存在します。
保健効果が実証されている特定の乳酸菌は、病原因子であるウレアーゼを利用したピロリ菌の感染抑制効果があります。
尿素呼気試験法で検査したヘリコバクターピロリ感染者に乳酸菌の除菌効果を検討した結果、乳酸菌の摂取期間においてのみピロリ菌由来の尿素濃度の減少が認められています。

つまり、乳酸菌がピロリ菌の感染を抑制することで病原性を低下させていることが確認されています。
また治療薬との併用を検討するために、胃酸を抑える作用を有するプロトンポンプ阻害薬と乳酸菌を組み合わせた治療の1ヵ月後、患者の60%がピロリ菌の感染が抑制されています。
また、プロトンポンプ阻害薬のみでは感染は抑制できなかったことからもこの乳酸菌株のピロリ菌抑制効果が優れていることがわかります。

まとめ

乳酸菌は自身の産生する酸や抗生物質で共通の感受性をもつ病原菌の活動を抑制します。
そして腸の中で定着し増殖し死滅する乳酸菌のライフサイクルの中にHIVウイルス感染者の消化管異常やピロリ菌の感染を間接的に抑制する因子があるようです。
今後さらに的を得た乳酸菌研究が期待されます。

乳酸菌はサプリなら効率的にとれる理由

あなたの近くにある乳酸菌を含む食品は何ですか。
酸乳、漬物のような保存食が代表的だと思います。
乳酸菌は自然界では動物や植物に生息にしており、由来や環境によって定着している菌株が異なります。
乳酸菌は乳酸を出す微生物の総称で細菌のみならず、一部の酵母も含んでいます。
乳酸による抗菌作用は、人の健康のみならず食品そのもの保存性を上げていることからも身近に乳酸菌の力を感じると思います。

乳酸菌サプリメントは菌体や有効成分そのもの

近年のプロバイティクス応用株は、必ずしも菌そのものが生きたまま腸管に届く必要はなく、その有効成分のみが腸管内の免疫担当細胞を刺激する事が明らかにされています。
これを殺菌乳酸菌と称して多種多様な乳酸菌が注目されています。
その中の1つ、エンテロコッカスEnterococcus (エンテロコッカス)属細菌について紹介します。
エンテロコッカス属細菌はグラム陽性の連鎖球菌でヒト腸管内に常在します。
その中でもE.feacalis (フェカリス)の大きさは約1ミクロンであり、通常の乳酸菌と比較すると約1/5の大きさです。
プロバイオティクスにはナノ型乳酸菌として0.5ミクロンにまで小さくする技術を応用しています。
それをナノ化処理といい、菌体を加熱処理して、有効成分を高度に凝縮し、乾燥を施す超微細化技術のことです。
一般的に乳酸菌は菌体を培養後、粉末化する場合に菌体同士が結合して塊になるものが多く、小腸での吸収がされづらくなります。
結着を防止するためにスプレードライをし、非常に小さな粒子に加工されています。

まとめ

必要な部分のみを精製したサプリメントは、工業化することで少量でありながら多くの細胞数の乳酸菌を摂れることが利点です。
しかしながら、期待される保健効果を得るために多数の細胞が必要なのは、個々の生理活性が低いということを忘れてはなりません。
人にとっては異物であり、多量の菌体成分で刺激することは正常な生体システムからは外れています。

乳酸菌サプリの魅力は、感染症を予防するための代替薬としてアレルギーによる食品の禁忌や嗜好性にとらわれないことです。
ピンポイントに必要なものだけを取れることに近代医学の整合性を感じるかもしれません。しかし、天然に乳酸菌が寄生する媒体を含めたプロ、プレバイオティクソームをまるごと摂取できる当たり前の日本食が本当のプロバイオティクスなのです。