長期の軟便に潜む恐ろしい疾患とは

便が軟らかくなるのは腸の蠕動運動が亢進していることが原因です。
痛みがないからといって無視するのは危険です。
立派な腸の不調である軟便は便の腸通過時間が短く、水分吸収が十分に行えていない状態です。
重篤な下痢の1つ手前の状態なのです。

腸の蠕動運動のみならず消化管の正常な運動性は体制内蔵反射によって調節されています。
過敏に活動している腸を落ち着かせるには体性内臓反射を抑制させることが効果的です。
軟便に限らず、便のトラブルには腸内細菌の機能不全が原因であることが多く、人の健康を維持する多様性のある腸内フローラの構成に食品の選択的な摂取が推奨されています。
糖質は腸の蠕動運動を調節する要因であり、蠕動運動を抑制するには低フォドマップ食(low FODMAP, fermentable oligosaccharide, disaccharides, monosaccharides, and polyols) と取り入れることが大切です。
FODMAPは群別に推奨食品を記載した腸疾患の治療食の指針で、便秘と下痢や軟便の解消に対応しています。
腸疾患の解消には小分子の糖や食物繊維のコントロールが大切で、軟便の解消には推奨食品の積極的な摂取が求められます。
過敏な腸の蠕動運動を抑制するために、かぼちゃが効果的であることが分かっています。

軟便は蠕動運動が過敏になる他にも、腸の水分吸収能が低下していることも原因です。
機能が低下しているのは、病原性微生物によって細胞が傷付き腸壁から?離しているからです。
腸に傷をつける病原性細菌に、抗生物質の長期投与による菌交代症によって引き起こされる偽膜性大腸炎の起因菌クロストリジウムディフィシルがあります。
本菌はトキシンAとトキシンBという2種類の毒素を持っています。
両毒素とも腸の中で感受性のある細胞に取り込まれた後、アクチンという細胞の骨格となるたんぱく質の合成を阻害することで細胞の正常な機能を奪います。
両毒素に暴露された細胞は、濃度依存的に細胞変性を起こし、最終的には細胞死に至ります。
細胞死に至った個体は正常に排除されますが、細胞死に至らず、変性しながらも生存する細胞は機能不全であることがわかっています。
このように排除にまで至らない機能不全細胞の蓄積が感染症による軟便の原因であると考えられています。

まとめ

便の形成は腸の蠕動運動と滞留中の水分吸収の影響を受けています。
軟便は便の腸通過時間が正常な時よりも短い状態です。
通過時間の短縮は蠕動運動の亢進や水分吸収能の低下が原因です。
過敏な蠕動運動にはFODMAPを利用した食事による保存的療法が効果的で、細胞の正常な機能維持には腸管感染症の予防が大切です。